利益を増やしたい!すぐに実践できる効率よく利益率をあげる方法とは?
利益率をあげるためには何をすれば良いのか?特に注目すべき営業利益率を中心に解説します。
会社経営において、売上げをいくらあげても利益が増えていないケースはよく見られます。
利益をあげられなければ、当然ながら会社の経営は傾き、事業を続けることが難しくなります。
利益をあげるためにはいくつかのポイントがあり、また事業を進めるにおいて特に営業利益率に注目すべきです。
今回は、営業利益率を中心に利益率をあげる方法やポイントについて解説します。
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この記事の目次
利益をあげる必要性とは
そもそも、利益をあげることで会社が得られる具体的な好影響とは何なのでしょう。
キャッシュフローがうまく回転する
売上げを増やして利益をあげると、現預金の金額に余裕が出ることから、流入出をスムーズにできキャッシュフローの健全化を図れます。
現預金の金額を増額できる要素は、売上げをあげたことによる利益が主です。
そして、キャッシュフローが健全でないと、諸経費の支払いが滞り、会社の経営が危うくなる可能性が高いです。
会社の成長のための投資も可能になる
自社の事業を拡大させるために、設備投資や販路の確保のように、様々な部分の規模を広げてさらなる投資を行うことが求められます。
自社が成長するための投資は、現預金からの出金を必要とします。
この時、あらかじめ多くの利益をあげて現預金の金額を増やせば、その分成長投資に多額をつぎ込めるため、事業が充実するでしょう。
計上される利益の種類とは
こちらでは、会計上における利益の種類をあげていきます。
営業利益
営業利益とは、会社の事業活動でのみ得た利益です。
商品やサービスの売上高から、以下のような経費を差引きます。
-
- 売上原価
- 販売にかかる広告宣伝費や旅費交通費など(販売費)
- 人件費や水道光熱費など(一般管理費)
つまり、売上げが増えたとしても差引くべき諸経費も吊り上がっていれば、営業利益に反映されず、現預金に余裕ができなくなります。
そのため、営業利益は会社の経済力(収益性)を示し、経営に対する信頼を得る指標になりえる利益であることから、会計上の利益の中でも重要視すべきものです。
営業利益率とは
営業利益率とは、売上げに対して営業利益の割合がどれくらいかを示す数値です。営業利益率が高ければ、効率よく営業利益を得ていることがわかります。
ひいては、営業利益によるキャッシュフローの健全度の可視化にもつながるため、営業利益率の数値により事業活動を見直すこともできます。
営業利益・営業利益率の計算方法
・営業利益
営業利益は、売上高から売上原価、営業にかかる販売費・一般管理費(販管費)を差し引いて計算でき、計算式は、以下のようになります。
売上高-売上原価-販管費=営業利益
例えば、売上高が10万円として、売上原価が2万円、販管費の合計が5万円である場合に、上記の式に当てはめます。
10万円-2万円-5万円=3万円
この計算式により、営業利益は3万円と求めることができました。
・営業利益率
営業利益率の数値は、%で表記し、以下の計算式で求めます。
営業利益÷売上高×100=営業利益率(%)
前述のように、売上高が10万円として、売上原価が2万円、販管費の合計が5万円で営業利益が3万円となるケースを用いて、営業利益率を計算します。
3万円÷10万円×100=30%
このように、営業利益率を30%と算出できました。
粗利
粗利とは、売上総利益とも呼ばれるもので、売上高から売上原価を差引いた金額です。つまり、営業利益の計算において、販管費を差引く前の金額であるといえます。
ちなみに、商品などの仕入れ額が市場相場に大きく左右される性質である場合、営業利益よりもこの粗利を見て会社の収益性を図るのに適しているケースもあります。
経常利益
事業を行ううえで、事業活動で得た営業利益のほかに、投資による配当金など(営業外利益)借入金にかかる利息など(営業外費用)のように、事業活動外で発生する損益のことです。
経常利益は、営業利益から営業外利益・営業外費用を差引いて計算したものです。
ちなみに、営業外費用がかさんでいる場合、借入金の利息などがキャッシュフローを圧迫している可能性が高く、営業利益が高くとも経営に危機が及ぶ可能性もあります。
当期純利益
当期純利益は、経常利益からさらに税金や資産売却などで発生する損益を計算に入れて、最終的に残る利益のことです。
つまり、当期純利益とは、その期に最終的に得た利益であり、この金額がキャッシュフローに組込まれます。
業種別に見た営業利益率
会社の収益性を示す営業利益率は、業種ごとに目安が異なっています。下記では、主な業種における営業利益率の目安を紹介します。
飲食業
飲食業全体において、営業利益率の目安はおよそ9%程度です。ただし、会社の規模により適切な営業利益率に違いがあります。
大規模な会社での目安はおよそ6%前後、中小規模の会社では9%前後が営業利益率の目安です。
この違いは、大規模企業では主に販管費に金額をつぎ込んでいるためと考えることができます。
小売業
小売り業では、およそ2%程度が営業利益率の目安であり、他の業種と比べて低めの傾向にあります。
商品を仕入れて販売するという業種の特性から、仕入れにかかる費用や取引き先に支払う中間マージン、物流などに供する費用がかかるためと想定されています。
卸売業
卸売り業でも、営業利益率の目安は低めで、およそ2%弱が平均とされています。
小売り業と同様、仕入れ費用や多数の取引き先に支払う中間マージン、物流などに費用を要することが要因であると見られます。
製造業
製造業においては、営業利益率の目安はおよそ4.5%前後とされていますが、業種の特徴として地域ごとに目安の差があるようです。
営業利益が高い地域ではおよそ5%以上、低い地域ではおよそ3%以下とのデータが出ており、原材料費の相場が地域ごとに異なることが想定されます。
IT業
IT業の営業利益率の目安は、およそ7%前後です。
IT業は主に技術によるサービスを提供するものであり、物理的な商品を扱うよりコストの割合が低めと想定できるため、この数値が実現しているものと考えられます。
営業利益率をあげるためにはどうするか
では、営業利益率を上げる方法とはどのようなものでしょう。
売上げを引上げる
営業利益率を上げる方法として、第一にあげられるのは売上げを引上げることです。
売上原価や販管費をあまり増加させずに、売上げがあがればおのずと営業利益も増えます。
重要な点は、売上原価や販管費を極力抑えた状態で事業活動を行うことです。この点に留意して、売上げを引上げる方法を考える必要があります。
売上げを引き上げる方法とは
・売上げのより高い商品を多く提供する
自社で販売している商品の中にも、売れ筋の良いものとそうでないものが存在するはずです。
そこで、売れ筋商品をより多く市場に提供できれば、おのずと売上げも上昇します。
そのためには、売上げが振るわない商品の販売を取りやめ、そこにかけていた売上原価や販売費などを売れ筋商品につぎ込む判断も求められます。
さらに、やみくもに宣伝すると販管費が膨れ上がるため、適切な購買層に働きかけるマーケティングが必要です。
・売上単価を上げる
売筋商品の単価を引上げることも方法のひとつです。しかし、単に単価をあげただけでは、顧客は商品に手をつけづらくなります。
そのため、商品にこれまでにない価値を付け、その価値を含めた単価であることをアピールする必要があります。
また、顧客のニーズに応えた付加価値を付けることは、その商品への興味を掻き立てるものとなり、購買意欲の増加も見込めるでしょう。
・リピート率をあげる
売上げをあげるためには、単純に新規顧客数を増やすだけではなく、リピーターを確保することも重要です。
リピーターを確保すれば、コンスタントな販売数が保てますし、新規顧客の開拓よりもリピーターを増やす方がマーケティングの観点でも比較的容易です。
リピート率をあげるには、顧客が十分に満足する商品を提供しなければならず、やはり品質向上といった企業努力は必須となります。
売上原価を下げる
営業利益率をあげる方法として、売上げを引上げることと同時に、売上原価を下げることも有効です。
売上原価について
売上原価は、商品であれば仕入れ費用や原材料費、サービスなどであればシステムを構築するための諸費用です。
これらの費用をできるだけ抑えることは、営業利益率をあげる方法として大きな意味を持ちます。
売上原価を下げる方法とは
・仕入れ先に値下げ交渉をする
商品の原材料費や仕入れ値について、仕入れ先と値下げ交渉をする方法があります。
もちろん、簡単に値下げしてもらえるとは限りませんが、交渉次第で考慮してもらうことは期待できそうです。
・外注にかかる費用を削減する
商品において、製造・販売および開発などの工程を外注で依頼しているケースでは、この外注費を削減することも考えに入れるべきです。
外注を依頼することで自社の業務の負担は軽減されますが、自社でできることを今一度見直し、不必要な外注をしていないか精査するようにします。
・大量発注する
仕入れを行う際、複数の仕入れ先を限定的に絞り、絞った仕入れ先に多種の原材料や商品を大量に発注することで、仕入れ先が割引を適用してくれることも多いです。
これにより、売上原価を大幅に下げることが可能であり、さらに仕入れ先との強いつながりを築くことにもつながります。
販売費・一般管理費をさげる
もうひとつ、営業利益率を計算するうえで欠かせない販売費・一般管理費(販管費)を下げるための企業努力も行うべきです。
販売費・一般管理費について
販管費には、以下のような経費が含まれます。
- 【販売費】
-
- 広告宣伝費
- 旅費交通費
など
- 【一般管理費】
-
- 事業所の家賃
- 人件費
- 減価償却費
など
これらを削減するためには、いくつかの方法があります。
・販売費を削減する方法
販売費の削減に有効な方法で効果的なものは、広告宣伝をWeb中心にシフトすることです。
例えば、テレビや雑誌に広告を打つとすれば、手数料が大幅にかかります。また、チラシを作成するには印刷費がかさみます。
この広告宣伝をWebに絞ることで、かかる費用はホームページ制作費や運営費のみとなります。
さらに、SNSをうまく活用して宣伝し、情報の拡散を促せば、広告宣伝費はゼロです。
・一般管理費を削減する方法
一般管理費として、家賃や減価償却費などについては、大幅削減は難しいです。
そこで、動かすのが比較的容易であるのが人件費ですが、やみくもに従業員の人数や勤務時間を削減することは得策ではありません。
単純にカットするのではなく、うまく人員を使い分けることがポイントです。
例えば、繁忙期と閑散期でアルバイトやパートの数をコントロールしたり、重要な仕事を行う人員と単純作業をする人員を完全に分けるといった方法が考えられます。
新しい顧客を集める
新しい顧客を集めるために、適切なマーケティングや購買層の特定などを行えば、狙った顧客を呼び寄せることが期待できます。
前述のように、Webを活用した宣伝活動は、大きな拡散力が見込めるほか潜在的な顧客層を獲得できることから、新規顧客開拓にも有効です。
また、試供品の配布なども新規顧客に商品を周知させるきっかけになります。
商品のクオリティを上げる投資を行う
クオリティの高い商品を提供して単価をあげ、売上げ増につなげるためには、製造設備の性能をあげることや、原材料の配合や仕組みを見直すことが考えられます。
そして、上記の品質向上の方法を実現するには、設備費や原材料費などへの資金の投資が必須です。
中間マージンを見直す
商品の販売におけるルートにおいて、複数社を介して取引きをする場合、中間に入った会社に対して手数料として中間マージンを支払います。
しかし、この中間マージンが営業利益を圧迫している可能性も高いです。
そこで、自社で独自の販路を広げて直売の仕組みを強化するといった方法で、中間マージンを削減できます。
さらに、会社と顧客が直接つながることで、顧客の信頼を得る効果も期待できます。
経営者自身が利益への知識を持つ
以上は、営業利益率をあげる方法として、現場で実行できる施策です。
しかし、そもそも経営者が営業利益率の数値や、営業利益率をあげる方法を理解していなければ、その知識を現場に落とし込むことは難しいです。
経営者自身が営業利益率の変動に敏感になることで、会社全体が数値に貢献する意識を持つことができます。
さらに、経営者目線で打ち出したロジカルな施策により、効率的な数値の上昇を狙うことも可能になるはずです。
利益率を上げる方法を分析する考え方
営業利益率をはじめ、利益率をあげる方法としては、以下のような考え方で利益を分析することが望ましいでしょう。
粗利を細分化する
粗利を構成する要素には、顧客数・顧客ごとの単価、そして利益率が含まれます。まずは、これらを以下のように細分化してみましょう。
・顧客数の要素
新規顧客、リピーター
・顧客ごとの単価の要素
商品数、商品単価
・利益率の要素
売上原価、不良在庫数、作業効率など
そして、細分化した要素のどこを引上げて利益の向上につなげるかを考えていきます。
顧客数を分析する
上記のように、顧客数を構成する要素は、新規顧客かリピーターです。これらの顧客数を伸ばすために、2つの視点から分析を行います。
Webからの流入
Webで新規顧客の獲得およびリピート率の増加を狙うためには、検索エンジンで自社WebページやECサイトを上位にヒットさせることが有効です。
検索上位にヒットさせる方法には、検索の最適化(SEO)を施したり、リスティング広告を出したりといった施策があげられます。
これらは、有償での施策ですが、合わせて無料のSNSを併用し、SNSからWebページへの流入を図ることで、より顧客を呼び込む効果は高くなります。
現実の市場での開拓
現実の市場に目を向けた時、顧客からのアクションを待つのではなく、自社から顧客に働きかける施策を採ることも大切です。
そのためには、キャンペーンの実施や商品・サービスの品質向上、メルマガ配信などの方法が考えられます。
潜在顧客を呼び起こす
リピーターの中には、以前はよく利用していたのに現在は利用を休止しているという潜在顧客が含まれます。
この潜在顧客を呼び起こすために、顧客関係管理(CRM)により潜在顧客の割合を分析し、メルマガやDMなどの方法で再度購買意欲を起こさせる施策を講じましょう。
客単価を検討する
客単価を構成する要素は、商品数と商品単価です。顧客ひとりが購入する数が多い場合と、単価の高い商品を購入した場合には、いずれも客単価は向上します。
商品数を増やすためには、顧客のニーズに応える商品の開発や、商品に付随するサービスを検討して多くの顧客の目に留まるようにしましょう。
そして、商品単価をあげるためには、やはり品質向上などの付加価値を付けることが重要課題です。
利益率が低い具体的な理由を考える
次に、そもそもの利益率の低さについて分析を行います。
利益率を左右する要素には、売上原価、不良在庫数、作業効率などがあげられ、それぞれの状況が悪ければ、おのずと利益率がさがります。
利益率をさげる要素を細分化し、どこを改善すれば利益率をあげることができるかを精査すれば、具体的な解決策が見えてくるはずです。
営業利益率をあげる方法に役立つツール
営業利益率をあげるためには、業務効率の向上もポイントのひとつです。業務効率向上は、以下のようなツールで実現します。
RPAツール
RPAとは、本来マンパワーで行われていた業務をAIなどの技術で自動化するシステムです。
これを実現するツールを使用すれば、人件費の削減のみならず人的ミスも排除することができます。さらに、24時間稼働させることで業務効率が飛躍的に向上するでしょう。
生産管理ツール
こちらは、マンパワーによる業務効率を向上させるために、作業工程や在庫、スケジューリングといった情報をツールで一元管理するものです。
これにより、必要な情報を従業員に素早く周知させるほか、部署外への連絡にかかる手間を軽減し、経営者自身による生産状況の把握も可能になります。
チャットボット
チャットボットとは、Webサイトに顧客が質問を入力すれば、内容に応じてAIが即座に回答するシステムです。
チャットボットツールの利用により、簡単な顧客からの問い合わせであれば、オペレーターが対応することなく素早い対応が実現します。
そのため、オペレーターの負担軽減や人件費削減につながります。
クラウド会計システム
会計システムは、経理における煩雑な作業を簡素化するものであり、経理担当者が必要な情報を入力するだけで仕訳や計算、分析が可能です。
また、クラウドでデータ管理ができるツールであればアクセスも簡単で、導入コストも比較的抑えることができます。
まとめ
会計上の利益率の中でも、ひときわ注目すべきは営業利益率です。売上高に対する営業利益の割合を示す営業利益率は、会社経営の重要な指針となります。
営業利益率が高いほど、高い収益力で事業継続ができることを示します。営業利益率をあげる方法は、今回解説した方法を参考にするのがおすすめです。
また、何より経営者が利益の仕組みを知ることが大切であるため、知識をしっかり備えましょう。
(編集:創業手帳編集部)